身近な契約の落とし穴 〜契約にくわしくなろう〜

回答1電話で商品を注文した時

商品の売買や利用で消費者(買い手)と販売者(売り手)の間で、商品の内容や価格、引き渡し時期などについてお互いが合意すれば、「契約」は成立します。

回答成立します。

契約書や印鑑、サインは証拠を残すためのものであって、お互いが合意すれば口約束でも「契約」は成立します。

回答約束が全て「契約」ということではなく、法律的な権利義務が生じる約束を「契約」と言います。

回答返品できません。

商品に欠陥がなければ返品はできません。一度契約すると、自分の都合で勝手に契約をやめて、商品を返品することはできないのです。交換や返品を受けてくれるのは店の好意です。

回答支払う必要はありません。

成人式に間に合うという約束で注文した振り袖が届かなかった場合、相手方の債務不履行となり、契約を解除することができます。

<自分の都合では契約は取り消せませんが、こんな場合は契約を取り消すことができます>

・相手が契約を守らないとき(契約違反があったとき)

・双方で合意があったとき

・返品について特約があったとき

・未成年であったとき

・だまされて誤解して契約をしてしまったとき

・脅されて怖くなって契約をしてしまったとき

このほか「消費者契約法」で契約を取り消すことができる場合もあります。

参考消費者契約法〔平成12(2000)年4月制定、翌年施行〕

「消費者契約法」は、消費者と事業者の間には、情報の質や量、交渉力に大きな差があることから、取引において消費者の利益を守るための新しい民事ルールとして制定されました。事業者側の不適切な勧誘行為で結んだ契約を取り消したり、消費者の権利を不当に害する契約条項を無効とする法律です。販売勧誘の状況などによっては、「消費者契約法」により救済される可能性もあるので、近くの消費生活センターに相談しましょう。

(対象) 労働契約を除くすべての消費者契約(事業者と消費者の間の契約)が対象です。

(取消事由) 事業者の次のような行為によって、消費者が誤認・困惑して契約を結んだ場合は、取り消すことができます。

  • 不実告知(重要事項について事実と異なることを告げること)
  • 断定的判断の提供(将来における変動が不確実な事項を、確実な情報として提供すること)
  • 不利益事実の不告知(有利な点ばかり強調し、不利益な事実を故意に告げないこと)
  • 不退去(自宅や職場に居座り、消費者が退去してほしいと意思表示をしても退去しない)
  • 退去妨害(営業所等で、消費者が帰りたいと意思表示をしても帰らせてくれない)

(取消事由) 消費者が誤認に気づいた時又は困惑状態から脱した時から6カ月、若しくは契約締結時点から5年以内

(無効な契約条項) 次のような消費者に一方的に不当・不利な契約条項は無効です。

  • 事業者の損害賠償責任を免除したり、制限する条項
  • 不当に高額な解約料(キャンセル料)
  • 不当に高額な遅延損害金
  • 信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項

回答1親に内緒で買った3万円の携帯電話

未成年者がする契約は原則、保護者(親権者、法定代理人)の同意が必要です。保護者の同意のない契約は本人や保護者が取り消すことができますが、次の場合は取り消せません。

  • こづかい程度の金額で購入した場合
  • 未成年者が20歳以上であると積極的にウソをついた場合
  • 保護者の署名欄に、未成年者が無断で記入をした場合
  • 結婚をしている場合

回答2訪問販売で購入した鍋

「クーリング・オフ」は一定期間内であれば消費者から一方的に無条件で契約を解除できる制度です。訪問販売や電話勧誘など突然勧誘されて契約してしまった場合や、マルチ商法、エステティックサロンや語学学校などの特定の商取引で契約した場合に認められています。
店頭販売や通信販売には、法的なクーリング・オフ制度はありませんが、返品を認めている場合もあるので申し出てみましょう。

<規制される取引類型とクーリング・オフの期間>

取引類型 特徴 クーリング・オフ期間 トラブルの原因
訪問販売
キャッチセールス、アポイントメントセールス、デート商法など
消費者の自宅など、営業所以外の場所で申込を受けて行う取引(営業所以外の場所で呼び止めて営業所に同行させた場合、販売目的を告げずに消費者に営業所への来所を要請した場合等を含む) 8日間 突然勧誘を受けて、十分理解できないまま契約をしてしまう
電話勧誘販売 事業者から電話をかけて勧誘し、申込を受けて行う取引 8日間
通信販売 郵便、電話、インターネット等の通信手段により申込を受けて行う取引 適用なし 事業者と対面して商品や販売条件を確認できない
特定継続的役務提供 身体の美化、知識・技能の向上などの目的で継続的にサービスを提供する6業種
  • エステティックサロン
  • 家庭教師派遣
  • パソコン教室
  • 外国語会話教室
  • 学習塾
  • 結婚相手紹介サービス
8日間 長期・高額の負担を伴う
連鎖販売取引(マルチ商法) 商品代金や登録料等を払って販売組織に参加。新たに参加者を勧誘して商品等を販売して報奨金を得る取引 20日間 ビジネスに不慣れな個人を勧誘する
業務提供誘引販売
(サイドビジネス商法)
事業者が提供・紹介する業務を行って収入が得られると勧誘し、その業務のために必要な商品等を契約する取引 20日間

参考特定商取引法〔昭和51(1976)年訪問販売法制定、平成13年(2001)年改正で特定商取引法に名称変更し施行〕

訪問販売などで強引な勧誘を受け、十分理解できないまま契約してしまうなど、消費者と事業者の間のトラブルが増加してきたことから、消費者保護のために制定されました。

(事業者に対する行政規制)
事業者が次の規制に違反した場合には、業務停止等の行政処分等の対象となります。

  • 氏名や勧誘目的等の明示義務
  • 不当な勧誘行為の禁止(消費者に勧誘を受ける意思があるか否かの確認義務と、勧誘を拒否した消費者への再勧誘の禁止、不実告知、故意の不告知等)
  • 契約に係る重要事項を記載した書面の交付義務
  • 広告表示規制(消費者が事前に承諾していない電子メール広告の送信禁止、誇大広告の禁止等)

(消費者救済のルール)

  • クーリング・オフ(無条件の契約解除)
  • 契約の取消(不実告知、故意の不告知によって契約した場合、消費者は契約の取消が可能)
  • 中途解約(連鎖販売取引、特定継続的役務提供は中途解約が可能。解約手数料の上限も規定あり)
  • 過量販売解除(訪問販売で通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は契約の解除が可能)

回答3の化粧品のセット

1
の「自動車」は、契約までに消費者が十分時間をかけて意思を決定することからクーリング・オフの対象外になっています。
2
のように、「現金で3千円未満」の場合もクーリング・オフの対象外です。
3
の化粧品や健康食品などの「消耗品」は、使用してしまったものについてはクーリング・オフの対象外になります。そのほかにも、クーリング・オフができない場合があるので、近くの消費生活センターに相談しましょう。

回答2クーリング・オフ期間内にハガキを特定記録郵便で出した。

特定商取引法ではクーリング・オフは書面で行うことと定めています。クーリング・オフ通知をした証拠を残すために、ハガキの両面をコピーして「特定記録郵便」または「簡易書留」で出しましょう。「内容証明郵便」で出せばより確実です。
クーリング・オフは発信主義といって、クーリング・オフの書面を発した日(通常は消印日)が期間内であれば良く、業者が受取を拒否した場合や郵便事故等で業者に届かなかった場合でもクーリング・オフは有効です。クレジットで購入した場合、販売会社とクレジット会社の両方に同時に通知します。
クーリング・オフの期間計算は、業者から法的な要件を備えた書面(通常は契約書面)を受け取った日から開始されます。受け取った書面に不備があれは、期間計算が開始されませんから、クーリング・オフ期間を過ぎてもあきらめないで、近くの消費生活センターに相談しましょう。

契約解除通知

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